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デンタルオフィス宮村

セカンドオピニオン・カウンセリング

1)そもそも何故セカンドオピニオン?
(情報が氾濫する世の中で、正しい知識を得る必要性)


診断や治療について専門的な内容を全て把握することは、失礼を承知で言えば一般の方にはまず不可能だと思われます。昨今ネット等で様々な情報が手に入りやすくなった反面、根拠のない(正しくない)情報も氾濫しており、これが個人の治療における取捨選択において混乱を招く要因ともなっています。

ゆえに何が正しくてどうして良いのかわからず、また、何の治療法が自分に合っているのかも混乱してしまい、結局は医師任せにすることで望まない結果になる場合も少なくありません。
他方では根拠のない情報から自分の状態はこうだと思い込み、医学的に正しくないにも関わらず、素人判断による決めつけた自己診断をする方もおられます。

例えば「食後30分は歯磨きしない方が良い」「噛み合わせのズレが顔を歪める」や「肩こりの原因になる」など一部の人には当てはまる場合もありますが、まるですべての人に当てはまるような書き方で情報があふれてしまっています。

個人ごとの症状は人それぞれによって微妙に個体差があるため千差万別であり、それらをパーソナル的に各個人に合わせて診断して、その人にとって治療可能な方法を示し、そのうえでベストな方法を提示するのが我々医療従事者(僕の場合は歯科医療を行う歯医者ですが)の役目です。
そのための専門的な知識を長い時間かけて身に着けて国家試験をパスし、国に認められた医療の国家資格者が医師なのです。

よく僕が患者さんに言うことは、建築家が10人いたら10通りのデザインの家が建つのと同じように、医者が10人いればそれぞれの考えや方針、治療技術、経験、力量などの差により方針がまちまちになる可能性があることを伝えています。

最近の医療の世界は日進月歩でスピードが速く“5年ひと昔”となり得るため、常に勉強をし続けて最新の知見を採り入れつつ、有効かそうでないかの取捨選択を、しかも患者さんにとって不利益にならぬように示すことができるかが大切です。


僕の考える診断の根本は

①どれだけ悪さをする可能性がある病因を、数多く考えられ

②そしてそれらを検査や診査によって、可能性の低い原因を除外して打ち消してさらに絞り込み

③残った病因に対して診断し、その診断に対してどれだけ数多くの治療方法を思い浮かべ

④その治療法の中から各個人に合うであろうと思われる方法標準治療も含め、いくつ選択肢を提示できるか


が重要です。


ある1つの病気に対して、3つしか治療法を知らない人は3つしか提示できませんし、10個の治療法を知っている人は10通りの解決方法を示すことができるわけです。



本来、歯科医師は口腔機能を保つために歯を助けることが本来の役割であるはずなのに、臨床力が少なめがゆえ安易に「この歯は残せない」の言葉と共に抜歯をしてしまうことも、抜歯をしたらしたで「インプラントか?入れ歯か?」という2択しか治療方法を示さないのも、いかがなものかと思います。

「自然の歯(天然歯)は削るとダメになる」とか「自然の歯(天然歯)だから削らないほうが良い」という人もいますが、行う必要があればやらねばなりませんし、歯周病ブリッジなどのページでも述べた通り「高い臨床力」で行えば、手を付けたからといって必ずしもダメになるというわけではありません。

具体的な例としては、取れないために長い芯棒を入れてしっかり接着した場合の差し歯において、時として何かの拍子で過度の力が加わって歯の根が割れて、抜歯になる場合があります。
しかしながら、短い芯棒の差し歯であれば過度の力が加わって取れた時に、歯の根が無傷で残ることもあり、その残った歯の根の部分に新しい差し歯を被せれば、結果的に歯を抜かなくて済むこともあります。


行われた治療内容が将来的な予見をもって処置されていたのかも知れない。

という見方もできるのです。


人は自分にとって都合の良い方向に治療情報を求める傾向があるため、ネット等の情報をあまり鵜呑みにしすぎないことも大切です。

根本的原因の究明ではない言葉「ストレスですね」「加齢ですね」「様子をみましょう」などに患者側も医師側も根拠のない納得感を覚えがちです。

しかしながら、根本の原因に少しでも近づける努力をして何かしない限り、問題の抜本的な解決はしにくいです


そのため僕はこれらの言葉を安易には言わないよう心がけています。
根本原因をはっきりとお伝えするため、場合によっては受け入れがたい、あるいは納得しづらい原因となる場合もあります。

正しいことをキチンと知ることは、治療をより理解し、患者さんの協力と自立を得て、良い結果に導くためにも必要だと思っています。



歯科口腔保健法にも次のように記載されています。


歯科口腔保健法 第六条 (平成23年)

(国民の責務)
国民は、歯科口腔保健に関する正しい知識を持ち生涯にわたって日常生活において自ら歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、定期的に歯科に係る検診を受け、及び必要に応じて歯科保健指導を受けることにより、歯科口腔保健に努めるものとする。

歯周病予防のページにも記載している通り、“正しい知識”を自ら得る必要性”は今後ますます重要となってくるように思います。



2)コンサルテーション(相談)とカウンセリング


一般的にカウンセリングと聞くとかしこまった堅苦しいイメージを持つ方もいるかと思いますが、診療室で治療中にちょっとした愚痴をこぼすことも、実は広い意味でのカウンセリングかも知れません。人は表に出さずに大なり小なり何かを抱えている方々は多数おります。

それが診療のちょっとした合間の世間話でも出てくることは結構あるのです。歯の治療に付随する場合は勿論、口と関係のない全く別の話であることも頻繁にあります。

例えば、介護の悩みだったり、健康や育児、会社や学校、広くはお金など生活全般であったりと多種多様な話を伺います。かしこまった「ザ・カウンセリング」ではなく、気楽な会話の中のちょっと聴いて欲しい愚痴を話されます。


カウンセリングといっても、決して「解決の方向に確実に導いていく≒答えがあるという訳ではありません

ただ心理学を学んだ分だけ一般よりも原因論だとか方法論というものを知っているので、悩みや考え方を整理するお手伝いやアドバイスであったりと、結果的に自然に気付くお手伝いになったという黒子役を多くで担います。

時にはしっかりと話をしてカウンセリングして欲しいという方もおりますので、希望がある方に対しては時間を十分取って対応させて頂くようにしています。

全身的な健康に関しても、癌のことだったり、整形外科分野のことだったり、糖尿などの内科的なことだったりと、歯科医療以外の分野のことを気軽に質問してこられる方々もおられます。そういう方々には、僕は歯医者なので基本的に“自分が知っている範囲で”という前提の立場からアドバイスを送ることもあります。



3)不安なら、セカンドオピニオン


基本的に医師等は皆さんの為を思って良かれと提案していると思うのですが、残念ながら患者さんの希望する方針に合致しない場合もあり得るかと思います。

患者さんの立場からすれば“腑に落ちなかったり”“治療方針で悩んだり”で迷ったりといったこともあるかと思います。



その時に、症状という現実と、

自身の要望や希望感情が混ざり合ってしまい、

事実・現実論感情・推察論がごっちゃに混在してしまっていることも往々にして見受けられます。

個々の考えは様々ですし、例えば1本の歯を例に取ってみても「とっとと抜いてスッキリしたい」という人もいれば「使えない歯でも残しておきたい」という人もいます。
そのような中で治療方針が意にそぐわない場合や明確でないなど、様々な不安・不満の感情も現れてくることも当然かと思いますが、それらの思いを冷静に事実」と「感情に分けて整理していくことが必要であり、そのためにもカウンセリング的なマインドの要素が必要なのです。



その上で歯科治療分野においてのセカンドオピニオンを受けたい方については、臆することなくお聞き頂いても良いと思います。

設計士が10人いれば10通りの建物ができるのと同じように、医療の世界においても医者が10人いれば10通りのやり方があるのも事実ですし、最終的には判断材料を集めた上でご自身が決断することが大切だと思います。


良いセカンドオピニオンとは、どれだけの原因となる可能性を考えられ、それに対しどれだけの解決方法を事実に基づいて提示できるか、が必要条件になると思います。


もしかしたら前医が予見をもって良く考えて行っている治療を、知識や経験が足りないばかりに直ぐに全否定するは考えものだと思います。



4)セカンドオピニオンを受ける際の注意


セカンドオピニオン受診時の注意点とは?

希望する方針にそぐわない、納得いかないなど、患者さんは様々なところを回って不快な思いをしたかも知れませんが、最初から疑心暗鬼のオーラ全開で対峙することは得策とはいえません。



患者さんがドクターに対してはじめから敵対心むき出しだったり、やってもらって当然の感じや約束にルーズだったりなどが前面に押し出されると、医療側は一生懸命やろうとしているにも関わらず、やはりそこは人間ですから感情は持っており、標準的治療“以上”のことを善意をもって行おうという思いも失せてしまうかも知れません。


例えば治療方針がご希望にそぐわないことや、ご自身の思い込んだ素人的な診断に合致するまで様々な医療機関を転々とずっと回り続けるドクターショッピング(ご本人もお困りだから転々と移られているのでしょうが・・・)をされる方などは、先にも述べた通り“症状”という「現実」と自身の要望や希望感情が混ざり合ってしまい、事実・現実論感情・推察論がごっちゃに混在してしまっていることも往々にして見受けられますが、そのような中で治療方針が意にそぐわない場合や明確でないなど、様々な不安・不満の感情も現れてくることも当然かと思います。しかしながら、それらの思いを冷静に事実感情に分けて整理していくことが必要です。



他にも自己都合だけで気軽に受診するコンビニ受診、診療予約の度重なる無断キャンセル初診問い合わせ電話でまだ口腔内を診て診察していないにも関わらず「放置しても大丈夫か?」や具体的な治療方法を聞く等、こちらも困ってしまいます。



口腔内の状況や症状などは各個人それぞれによって千差万別であり、その状況に応じた治療方法の選択肢もまた様々であるため、基本的には診察をしないと的確なことは言えないのです。

令和元年に発出された厚生労働省の通知でも診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合には新たな診療を行わないことが正当化される」と明記されており、やはりセカンドピニオンにて受診時の注意点としては患者さんが不利益を被らない為にも意識しておかれることが大切だと思います。



「医学の祖」と称される
【ヒポクラテスの誓い】には、



私は能力と判断の限り患者に利益すると思う養生法をとり、悪くて有害と知る方法を決してとらない


との記載もあり、やはりご自身の身体を預けるわけですから何よりも良好な信頼関係が無くては医療は成り立たないと思います。

そのためにも我々医療従事者も日々自己研鑽に努めていることが無論重要になります。


当歯科医院の理念が「お口の健康から全身を考えることから始まり充実した人生を送れる手助けをするとあることからも常に精進を続けており、何かしらのお役に立てるかも知れませんので、フラットな気持ちで信頼していただき、知りたいと思ったことはご遠慮なくお尋ね頂ければと思います。







【著者】デンタルオフィス宮村
    院長(歯科医師) 宮村壽一
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