歯周病治療
歯周病治療
患者さんの協力なくしては成り立たない!
歯周病の治療を成功に導くために何よりも重要なのは上記のことです。
そのため患者さんのプラークコントロールが最重要課題になってきます。
今現在の歯周病の考えは、「安定期」と「急に悪化する急性期」を繰りかえすという概念です。
長い安定期がずっと続くようにコントロールし続けるということが大切です。
例えるならば、慢性疾患の高血圧・肥満・糖尿病のような全身疾患と同様に、コントロールを続けることが重要なのです。
インプラント処置をやろうが歯周外科処置をやろうが一時は良くなっても、コントロールができなければまた同じ結果に戻ってしまうのです。
“歯周病”は世界で一番蔓延している「感染症」である
ギネスにも認定されています。
究極的には、“菌”(歯周病菌)と“自分の抵抗力”(免疫)のどちらが優位なのか?
というバランスの問題になるのです。
それゆえに「歯周病」は「生活習慣病」でもあるのです。
歯周病を助長させる要因として、“歯ぎしり”や“食いしばり”なども歯周病をさらに悪化させることが解かってきています。
基本的には歯周病菌が増殖したり、悪さしたりできないようにすることが大切になってきます。
菌はなぜ増えるのか?
その点をしっかり理解することが重要となります。
(例えば歯の磨き残しによって菌の残留が多くなり、毒素を出すことなどもその1つです)
磨いているのと、実際に磨けているのとでは違うのです。
一般的に磨いている、というのはあくまで身だしなみの歯磨きの範疇なのかもしれません。

一見綺麗に見える 本人は時間をかけて磨いている とのこと |
色を付けてみると 実際には磨けていない |
しかし、歯周病の場合は治療としての認識で歯磨きをする必要があります。
(歯ブラシの当て方や磨く時間、磨く回数なども重要となってきます)
その必要性をしっかりと理解した上で、「治療としてのブラッシング」を習慣化できれば
約8割の方は“自分自身で歯周病のコントロールができる”ようになります。

歯肉がはれています(矢印) | 磨く圧力に注意して 治療のブラッシングで はれが治りました(矢印) |
言い方を変えれば、
「歯周病の約80%は、外科手術をしなくても治るのです!」
逆に言えば、治りにくい歯周病というものも約20%は存在します。
それらには歯周病の基本治療に加えて歯周外科の「外科的療法」を行う場合もあります。

深い歯周ポケットが残っていました | 手術をすると、骨が溶けていました |

一見よさそうに見えます | やはり手術をすると、 骨が溶けていました |

歯肉がやせ細っています | 上あごから歯肉を 採取しました |
歯肉を移植して太くし インプラントを無事入れられました |
あるいは抗生剤を服用して歯周病菌を殺菌する「内科的療法」を併用したりする場合もあります。
他にも、
「栄養学的なアプローチ」、
「歯ぎしり・食いしばりからのアプローチ」など、
“生活習慣”や“ライフスタイル”を考慮に入れた総合的な判断が必要となります。
デンタルオフィス宮村でお渡しする、歯ぎしり、食いしばり小冊子
「歯周病」は各個人によって、単独症状や複合症状などの様々な状態があり、生活様式やライフスタイルも複雑に関係してくることから、“これだけをやっていれば大丈夫だ”ということはありません。
そのためにもやはり、
「歯周病」に対する“正しい知識”と“正しい治療方法”をキチンと知ることは大切なのです。
このことは法律においても定められています。
歯科口腔保健法 第六条 (平成23年)
国民は、歯科口腔保健に関する正しい知識を持ち、生涯にわたって日常生活において自ら歯科疾患の予防に向けた取組を行うとともに、定期的に歯科に係る検診を受け、及び必要に応じて歯科保健指導を受けることにより、歯科口腔保健に努めるものとする。
全ての歯科診療において
“絶対に抑えておかなければならない”こととして「歯周基本治療」があります。
当歯科医院の、いや、歯周病の基本治療の最も大切な1つに、
先に述べた「ブラッシング(歯磨き)によるコントロール」がありますが、
ブラッシングには様々なテクニックがあり「大変で続かない」ということも聞かれます。
ゆえに、なるべくご本人たちが大変だと感じないよう、また、継続実行が可能なスタイルでブラッシングを行ってもらえるようにと取り組んでおります。
デンタルオフィス宮村でお渡しする、歯磨きリーフレット
治療効果をより簡便に上げるために、歯ブラシや歯磨き剤の種類などを上手に選ぶことも、意外に大切なのです。


そして、生涯にわたって良好な状態で安定させるために
歯科医院での継続的なメンテナンスも重要となってきます。

当院においてメンテナンスを継続して行われている方の大部分(約9割)の方は、良好な状態を長期に渡って保てています。

デンタルオフィス宮村で行うメンテンナンスには大別すると
①「日常のブラッシングの補完的役割」と、
②「歯周組織や口腔の変化をいち早く読み取り対処すること」
の2つの大きな意味合いがあります。(予防ページ参照)
① | の「日常のブラッシングの補完的役割」については、日頃のブラッシングではどうしても汚れが残りがちな場所を、“プロのクリーニング法”によって取り除き、また、歯に“汚れが再度付着しにくい状態”にまですることを目的に。 (メンテナンスについてはこちらをご覧ください) |
② | の「歯周組織や口腔の変化をいち早く読み取り対処すること」については、わずかな口の中の変化を読み、悪化しそうな部分の早期発見と早期介入による早期の治癒や予防に対するアドバイスを目的に。(早期の治療効果) |
これらの“目的意識を持った、質の高いメンテナンス”を実施することで、
・ | 痛い思いをしに歯医者に来なくて済む。 |
↓ | |
・ | 歯周病のみならず、むし歯も自然とケアできる。 |
↓ | |
・ | 生涯を通じた歯科医療費が格段に安く済む。 |
↓ | |
・ | 口のトラブルを日常で気にしなくて良く、好きなものを、好きな時に、好きなように、口にできる。 |
↓ | |
・ | 「口という“臓器”」を長期に渡って安定・維持していくことで“食”(食事の楽しみ・栄養など)をはじめ、“対人関係”(口臭など)や“社会性”(口元の見た目など)までを含め、充実した人生の日々を送れる一助となる。 |
今日では、歯周病と様々な疾患との関連が明らかとなりつつあり、特に糖尿病や腎臓病、心臓疾患、脳疾患などの全身疾患、また、早産や低体重児、高血圧症、呼吸器などの全身状態にも影響を及ぼすことが明らかとなってきています。
『歯周病との関連の可能性が指摘されている疾患一覧』
・糖尿病 ・早産/低体重児出産
・慢性腎臓病 ・虚血性脳血管疾患
・虚血性心疾患 ・動脈硬化性疾患
・呼吸器疾患 ・誤嚥性肺炎
・リウマチ ・アルツハイマー病
・非アルコール性脂肪性肝炎
「歯周病」は一般に思われている以上に全身に影響しており、また、生活習慣も複雑に絡んでいることから、コントロールして行くには「トータルで診る力」が必要となる疾患なのです。
ある病気で「経過を見ましょう」と言われたとして、
一般医と認定・専門医の発言では意味合いや信憑性が異なりますよね。
歯周病でも同様に一般医と認定・専門医には多少違いがあります。
例えば、あまり知られていませんが、“犬を飼っている方は歯周病になりやすい”ということもあるんですよ。
どれくらいの“臨床力”で診断や治療またメンテナンスにあたるかが重要となり、
ゆえに“質の高い診療”が求められるのです。
デンタルオフィス宮村では
“質の高い診療”を提供するために
「有資格者による、質の高い歯周病精密検査と治療」をお勧めしています。
このことは当院の裏コンセプトでもある、「QUALITY DENTAL」にも通ずるのです。
【著者】デンタルオフィス宮村
院長(歯科医師) 宮村壽一